民家の店・宿 民家の店・宿

民家の店・宿

情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

  • 京都/茶房「O間-MA-」

     世界遺産「東寺}のすぐ近くに、大正末期に建てられた地区100年の京町屋が残されています。建築当時、家主は炭問屋を営んでおり、離れの和室など、こだわりや想いが随所に感じられます。
     その歴史を今に引き継ぐのは、店主でデザイナーの酒井俊明さん。「茶の湯の考えで現代生活における和建築の在り方を構築すべく〝継ぐ〟をコンセプトにした空間をデザインしています。近代住宅へと改装されていた意匠を建築当時に戻してから今の姿へと再構築し、リノベーションも自ら施しました」との言葉通り、味わいある土壁や壁一面の建具などを目にすることができます。圧巻の茶房は、高さ7・4mある空間と長さ8mある天井梁に目が奪われます
     茶房では日本各地で選定された100 種類を超える日本茶が楽しめます。日常とは違ったお茶の深みと楽しさを味わえるのも京都ならではです。和菓子店「いと達」と考案したお茶漬け菓子「茶妙(さみょう)」。3種類の一つ襄陽饅頭は糖度20%とごく控えめな甘さのあんこのお菓子、それに玉露を注ぎ、茶とともに変化する味を体験することができます。
     坪庭を介した離れの和室では茶事や茶道体験も催され、歴史ある町屋で現代の日本文化を味わうことができるお店です。 (京都府 H.t)

    住所 京都府京都市西区九条比永城町59
    電話 075-748-6198(予約優先)
    営業時間 11:00~17:00
    定休日 水曜日
    メニュー 100種類以上から選べる日本茶:1,000円~(税込み)
    茶味比べ(日本茶飲み比べ3種類~):2,500円~
    お茶漬け菓子「茶妙」(全3種):1,300円
    HP https://Oma.jp
     

    ,

  • 神奈川/甘未処「無心庵」

    古都鎌倉、江ノ電和田塚駅の正面に、無 心庵がある。駅の正面にあるといえど、店に入るには踏切のない線路を渡らねばならない。どうやら江ノ電は、もともとあった民家をかき分けるようにして敷かれたらしい。歴史ある門構えとこの不思議な甘味処に、日々多様な世代が足を運ぶ。店を構えたのは、3代目オーナーである佐藤さんの祖母。佐藤さんが11歳だった30年前に自宅を店にした。建物自体は釘を1本も使っていない築約100 年のもので、開店時にはあまり手を加えず、テーブルや座布団をそろえたくらいだったという。現在は奥さんと2人で経営をしており、メニュも代々受け継いできたこだわりのものを用い「自然体」で営んでいるとのことだ。お客様の呼び込みもインスタグラムとホームページ以外では行っておらず、まさに「自然体」で商いを楽しんでいる方である。 メニューはゴールデンウイークと月初旬を目途に変更し、新要素の導入や、お客様に合わせたメニュー変更にも取り組んでいる。 そんな佐藤さんの古民家への思いも、また「自然体」であった。店はだけであって、「古民家だから」という概念は持っていないのだそうだ。だからこそ、民家の解体が進む古都鎌倉での現状には「もったいない」と声をこぼしていた。民家の維持にはお金と労力がかかるのは確かだが、一度壊されたら元には戻せない現代日本の民家の現状を嘆いているようであった。コロナによる緊急事態宣言により何度も休業を強いられた「無心庵」。「自然体」にこだわりぬき、他のどこでも体験することができないこの店に、客足が戻ることを願う。(神奈川県・正会員 塩崎 陸)

    住所 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3丁目2-13
    電話 0467-23-0850
    定休 木曜日(祝日営業)
    メニュー 冬季限定:田舎汁粉(850円)、あんころ餅(900円)、あつあつ白玉きな粉(750円)
    HP https://mushinan.chobi.net

  • 佐賀/日本料理「あるところ」

     佐賀県・唐津市街から松浦川を渡って鏡山の麓へ続く田舎道を上っていく途中、うっかりすると見落としてしまいそうな店の立て看板に導かれ脇道を入っていくと、目の前に実に堂々とした佇まいの古民家があらわれます。
     ここは、知る人ぞ知る人気の日本料理店「あるところ」。唐津の海と里山の幸を、焼き魚、青菜のお浸し、おむすびといった和食の原型のようなシンプルなかたちでいただくことができます。食材のおいしさを最大限に引き出すのは店主・平河直さん。自らの手で改修した築130年の古民家は、細部に至るまで土壁で仕上げられ、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。特に目を引くのは、あえて昔ながらのスタイルにこだわった台所で、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
     竈で炊く白米の香り、立ち上がる湯気、店主が奏でる包丁の音色…店内では、その丁寧な仕事ぶりを五感で楽しむことができます。季節の料理をよりいっそうひきたてる器は、店主が一品ごとに選りすぐった唐津焼。料理をいただいた後にも、器を愛でるもう一つの楽しみがあります。ぜひ、一年を通して四季折々の料理を楽しみたいお店です。
    (栃木県・正会員 T.S)

    住所 佐賀県唐津市鏡732
    電話 0955-58-8898
    営業時間 昼11:00~15:00 夜17:00~22:00
    不定休
    メニュー 昼のコース 5,000円(税込み)
    夜のコース 10,000円(税込み)
    HP http://arutokoro.com

  • 奈良県御所市/カフェ&バー「モリソン万年筆&カフェ&」

      江戸時代以来の古い区画と町家が立ち並ぶ御所まち(奈良県御所市)に、モリソン万年筆&カフェはある。建物は築後約100年を経ているとのこと。店名の由来となっているモリソン万年筆というのは大正7年に創設された企業名で、昭和45年までは万年筆をつくって販売していた。現在も店内では万年筆やボールペンの販売をしている。
     カフェを立ち上げた谷川さんは、以前からカフェ巡りやバー遊びが好きで、いつかバーを経営したかったと話してくれた。「バーの楽しみ方は居酒屋とは180度違います。一人もしくは二人で店に来て、いいお酒をゆっくり時間をかけて呑む。店のマスターや顔なじみのお客様同士での会話を楽しみ、そこに集う人たちの間でコミュニティができる」と谷川さん。
     また御所まちの中には休憩したり飲食したりできる場所がなかったことも、開店に至る動機の一つだったと話してくださった。夜のお客様はやはり近隣の方が多いとのこと。最近は30代の若い方々が、御所まちの将来についての夢を語り合っていることもよく見かけるようになってきたそうだ。
     主なランチメニューはパスタとインド式のカレー。2022年前半に民泊もオープンする予定。1日4組宿泊可になり、中庭を眺めてゆったり滞在できる古民家の宿になるとのこと。2021民家フォーラムの会場からは徒歩で行ける距離なので、ぜひ足を延ばしてみてほしい。 (奈良県・正会員 J.S)

    住所 佐賀県御所市1069番地
    電話 0745-63-1881
    営業時間 水~日[Lunch]11:30~15:00
    [Bar]18:00~22:00
    定休日 火曜日 なお月曜日は不定休で営業はランチのみ
    月曜日はあらかじめ、お問い合わせの上ご来店を。
    席数 カウンター8席、座敷4席~15席まで
    駐車場 3台

  • 千葉/蔵のカフェ&ギャラリー「灯輪」(登録有形文化財「笹屋土蔵」)

    千葉/蔵のカフェ&ギャラリー「灯輪」manimani」1

    江戸時代から明治大正にかけて舟運で賑わっていた千葉県の流山。老舗が点在する海道から路地を入ると土蔵(明治31年築)を改装した「灯輪」があります。1階はカウンターとテーブル席で新たに窓を設けた明るいカフェ、2 階は照明を控えめにして、 ギャラリーやイベントスペースとし ても使われています。
    オーナーの秋元さんがこの蔵に出合ったのは10 年ほど前。カフェ巡りと陶器が好きで、いつか店を開きたいと思い続けていたある日、街道沿いの立派な家屋や蔵が空き家になっ ているのがもったいないという思いがあり、市役所に「カフェをはじめ たいので、どこか紹介してください!」と相談に行ったそうです。 市でも歴史的建物の活用をはじめ ようとしていた時期で、ほどなくして空き家になっていたこの蔵を紹介 されたそうです。火事に遭い外壁などはかなり傷んでいましたが、秋元さんが考えていたお店のビジョンにぴったりで、「自分で空き家を見つけても前に進むことは難しいと思っていたので、とても嬉しかった」と当時のことを話します。市の事業の対象にもなり、改修のための補助金を 受けることができました。再生にあたって大変なこともあったようですが、「目の前のことを一つずつこなしていって、気が付いたら店を始めていました」と笑顔の秋元さん。
    季節の野菜や糀、 地元のみりんなど、 素材や彩りにこだわった料理やデ ザート、飲み物が、 秋元さんが大好きな笠間焼の器、そ して蔵の空間と調和しています。 接客を手伝うお母さんと、にぎやにぎやかに店を切り盛りしています。
    (千葉県・正会員 K.H.)

    住所 千葉県流山市北1-155
    電話 047-158-0221
    交通 流鉄流山線流山駅より徒歩5分
    メニュー おまかせデザートプレート、自家製スイーツ、 コーヒー、紅茶など
    営業時間 10:30~17:00(L.O.16:30)
    定休日 火、水曜日
    HP https://kuratowa.com

    ,