民家の店・宿 民家の店・宿

民家の店・宿

情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

  • 神奈川/カフェ・蕎麦 「鎌倉 北橋」

    情報誌『民家』131号

     「鎌倉 北橋」(旧加賀谷邸)は旧前田侯爵家の別邸である鎌倉文学館、鎌倉市⾧谷子ども会館になったこともある旧諸戸邸の至近にある。  旧加賀谷邸は施工、築年が明らかではないが、おそらく大正期と考えられる。元家主の加賀谷氏が東京の不動産業者に売却し、約5年前に不動産業者が店子を募集。下北沢で打心蕎庵にて料理⾧を務めていた北橋氏が店子と決まった。  加賀谷邸の利用にはその所在地が第一種低層住居専用地域内のため、その利用に住宅兼用でかつ店舗部分が50㎡以下の制限があった。この面積制限を現店舗面積150㎡弱に近づけるため、「鎌倉市歴史的建築物の保存および活用に関する条例」により建築基準法の適用を除外し保存活用を図ることとした。
     地域のランドマークとなっている洋館部分のドイツ下見張りのある外観やマントルピース、和風建築の主屋の簓子張りと漆喰壁、和室は床の間・飾り棚の構成維持や土壁仕上げなどを保存し、近隣住民、鎌倉市、建築専門委員、景観審議会、建築審査会などのコンセンサスを得ながら工事を進めたため、コロナ禍の影響もある中、竣工まで5年近い歳月を費やした。
     現在建物の洋館部分はカフェ、日本家屋部分は蕎麦店に分けられている。蕎麦は農家から買い付け自家製粉し提供。蕎麦は二種、三種を一度に楽しめる産地違いの食べ比べがお勧めだ。天ぷらも絶品で、サクサクとした軽い食べ心地だ。カフェの方は水出しコーヒーのほかに、自作のジンジャー系ドリンクやラテなどが美味しい。新しい鎌倉の名所になる予感がする。(神奈川県・正会員 M.H.)

    店舗DATA
    住所 神奈川県鎌倉市長谷1丁目11-32
    電話 0467-84-9662
    アクセス 長谷駅徒歩約6分、鎌倉駅徒歩21分
    西武鉄道/西武秩父駅より徒歩約11分
    営業 蕎麦11:00~20:30/カフェ9:00~17:00
    ※月曜日は17:00まで
    定休日 火曜日
    https://hamakura-kitahashi.com

    情報誌『民家』131号
  • 神奈川/手作りチーズとピッザのお店「Latteria BeBe Kamakura」

    情報誌『民家』131号

     鎌倉駅西口御成通り商店街を少し入った路地裏にある、フレッシュチーズと薪窯ナポリピッツァのお店。
     植え込みに育ったレモンの樹越しの工房に、真剣な眼差しで手際よくチーズを作るオーナーの山崎大志郎さんの姿が見えると、〝今日は売り切れていませんように〟と祈りたくなる。「イタリアでは、お豆腐でも買うようにしてマンマ(お母さん)が買っていく身近な存在なんですよ」とオーナー。
     作っている時の真剣な表情から一転して笑顔で話してくれたのはもう何年も前のことだが、その言葉通り、お店の自家製リコッタチーズとマスカルポーネはすっかりお豆腐並みの必需品となって我が家の冷蔵庫にストックされている。
     イタリアでチーズ作りを学ばれた大志郎さんと同じく、ピッツァ職人としてイタリアで修行された兄の健太郎さんは、古民家をリノベーションした店内の薪窯の前が定位置だ。鎌倉の海の波と明るい太陽をあしらった(と思われる)カラフルなタイル貼りの薪窯で、黙々とピッツァを焼く健太郎さんは、文字通りお店の〝炉心〟のような存在。大志郎さんの自家製チーズ、季節の野菜、ハーブやサルシッチャを使い、その手を通して魔のようなピッツァを焼き上げる。テーブルに運ばれて来たピッツァを前にすると、私たちはいつも互いに一瞬目を合わせ、〝さあ!〟とばかり自然と笑みを浮かべて手を伸ばす。
     それぞれの素材が引き立て合うように調和した美味しい料理の数々、屈託のない笑顔を見せるスタッフの皆さん、人生を肯定するかのような優しい時間に感謝せずにいられない。(神奈川県・友の会会員 J.A.)

    店舗DATA
    住所 神奈川県鎌倉市御成町11-17
    電話 0467-81-3440
    アクセス JR鎌倉駅西口・江ノ島電鉄鎌倉駅より徒歩約2分
    営業 11:00~15:00 17:00~20:00
    定休日 毎週月曜日+不定休
    月祝の場合は翌平日休み
    http://latteria-bebe.com/

    情報誌『民家』131号
  • 埼玉/自家製粉石臼挽十割手打蕎麦 「らぐりゅ」

    情報誌『民家』130号

    昭和20年代の民家で十割蕎麦を
     自然豊かな秩父山地に囲まれた市街地。住宅街の一角にある平屋を少しだけ改装して、十割手打蕎麦店「らぐりゅ」は2023年11月に開店しました。
     今から3年前、都内在住だった店主ご夫妻は住居兼開業の場所を求めて移住を計画。多摩地域・青梅市を中心に物件探しをされている中、2022年10月、秩父郡小鹿野町での醸造体験時に「秩父」を勧められ、翌11月に「ちちぶ空き家バンク」で宮司さんの住居だったという、この建物に出会います。月末には初の内覧、翌年4月にJMRA(担当は亀屋工務店さん)での建物調査を実施。
     建物の状態は良好で、和室や床の間、縁側などは大規模な改修なく、趣ある飲食のスペースとして利用されています。
     敷地内にある製粉室で玄蕎麦の殻を剥き石臼でゆっくりと製粉。お庭を眺めながら落ち着いた空間で、しっかりとした蕎麦の風味、香り、コシを楽しむことができます。(東京都・正会員 Y.Y.)

    店舗DATA
    住所 埼玉県秩父市上野町24-21
    電話 なし 予約は受けていません。
    アクセス 秩父鉄道/秩父駅より徒歩約6分
    西武鉄道/西武秩父駅より徒歩約11分
    営業 月・火・水・金(11:30~15:00)
    土・祝日(11:30~16:00)
    定休日 木曜日・日曜日
    https://www.instagram.com/la_goulue_chichibu/

    情報誌『民家』130号
  • 静岡/喫茶・民泊・レンタルスペース「まろや」

    情報誌『民家』130号

     静岡県浜松駅から車で約1時間、火防の神様として知られる秋葉神社の下社から上社に至る静かな参道を少し上り、小川にかかる赤い橋を渡ったところに「まろや」があります。
     大正14年に建てられたこの日本家屋は、もとは林業を営んでいた山主さんの自邸でした。
    20年以上空き家でしたが、オーナーの三須夫妻が2018 年から再生に取り組み、現在は母屋を喫茶・民泊・レンタルスペースとして活用しています。
     当初は「ここに住みたい」という思いから、東京の住まいと往復しながらほぼDIYで改修。次第に母屋を他の人に使ってもらうようになり、現在は宿泊のほか、CM 撮影や結婚式で利用されることもあるそうです
    。  建物には秋葉山から切り出した木材がふんだんに用いられています。天井や壁や建具など、いたるところに美しく浮かび上がる杢目が見られました。
     建物の中で過ごしていると、携わった人たちが地元の木や山を愛し、余すところなく丁寧にあつかい、この家という形になった道のりが思い浮かびます。
     食事は基本は自炊で、広い台所にある可愛いオレンジの竈かまどを使って炊き立てのご飯を楽しむこともできます。また、ジビエなど地元食材を使ったケータリングも利用できます。
     床の間などには家の周囲のお花が活けられてあり、建物と美しく調和していました。
     ぜひ「まろや」に足をはこび、自然とともにゆったりと過ごす時間の豊かさを感じてみてください。(東京都・友の会会員 N.N.)

    店舗DATA
    住所 静岡県浜松市天竜区春野町領家907
    電話 053-568-0814
    アクセス 天竜二俣駅から車で約26分(150m)
    営業 チェックイン 15:00(最終21:00)
    チェックアウト 11:00
    定休日 不定休
    https://www.insutagram.com/akihasakasira_maroya/

    情報誌『民家』130号
  • 愛媛/ギャラリー・カフェ「道後の町屋」

    情報誌『民家』129号

     JR 松山駅前駅から伊予鉄環状線の路面電車で約30分。道後温泉駅に到着します。電車を降りるとすぐにアーケード型の商店街「道後ハイカラ通り」が見えてきます。道後ハイカラ通りは明治期に改築されており現在では約60の商店が軒を並べています。
     「道後の町屋」はその商店街にある大正末期の旧郵便局舎と局長宅を改装した建物です。敷地は2間半(4・5m)の間口、奥行き27間(49m)の細長い形状。戦前に固定資産税を間口で算定した名残が見られます。建物は、敷地に合わせた形で商店街に面して旧郵便局舎、奥に局長宅があり、両棟は石畳でできた通り庭でつながっています。
     局長宅だった奥座敷には縁側の先に庭があり、四季折々の風情を楽しむことができます。室内には蔵出しされた和道具が飾られており、当時の生活に思いを馳せる空間となっています。
     メニューは「じゃこ天バーガー」や「湯之町バーガー」、ケーキや季節のオススメがあります。飲み物とセットでぜひどうぞ。(東京都・正会員 Y.Y.)

    店舗DATA
    住所 愛媛県松山市道後湯之町14-26
    電話 089-986-8886
    アクセス 道後温泉駅より徒歩約2分(150m)
    営業 10:00~21:00
    (フードストップ20:00 ドリンクストップ20:30)(ディナー)
    定休日 火曜日・水曜日(祝日は営業、翌日休み)
    https://www.dogonomachiya.com/

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    情報誌『民家』129号