「一町一寺制」の町割りの「古町」は、加藤清正の入城以前から存在したと言われ、江戸時代は城下最大の町人地として栄えました。特、唐人町通りには城下町を代表する大店が立ち並びました。西南戦争(1877年)の際には市街戦を避けるために官軍による建物疎開(焼却)が行われました。
その後再建された店の1 つが「ルーツピュアリィ」(2020年、「ナチュラル&ハーモニックピュアリィ」より改名)の建物です。昔ながらの伝統的な食をはじめとする「衣・食・住・遊・学」のすべての面でのナチュラルなライフスタイルを提案するモールになっています。
「ピュアリィレストラン(梅鉢×purely)」は、「ルーツピュアリィ」の東館奥にあり、2023年6月に日本料理の「梅鉢」とコラボしてリニューアルオープンしました。
敷地裏を流れる坪井川は熊本城の外堀を兼ね、細川藩時代には水運の大動脈でした。地下部分には米俵を運び込んだ船着き場がそのままレストランとして再生され、熊本地震の被災による大規模な復旧を経て、熊本城下を代表する瀟洒な空間となっています。
(東京都・正会員 S.S.)
住所 | 熊本市中央区唐人町15 ルーツピュアリィ東館B1F、1F |
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電話 | 096-323-1551/096-323-1552 |
営業 | ランチ・カフェ:11:30~16:00(営業日:金・土・日) ディナー:17:00~21:00(要予約、定休日:月・水) |
定休日 | 月・火(祝日は営業、振替休日あり) |
アクセス | 熊本市電「呉服町」電停より徒歩3分 |
HP | 「ルーツピュアリィ」https://www.rootspurely.com/ 「ピュアリィレストラン」https://spurely-restaurant.com/ |
熊本市の食べログ蕎麦ランキング第1位には、「手打百藝 中の森」が常に鎮座し、ミシュラン☆でもある。蕎麦の実を挽くとき、1番挽きが更さら科しなで2番挽きが挽きぐるみ、3番が黒い田舎である。皮が外側なので、逆のような気もするが、蕎麦の実はひし形で、まず2つに割れて、中央部から粉状になるので、更科が先だそうだ。
中の森のそばはすべて、つなぎを入れないそば粉だけで打つ十割蕎麦。その日の湿度によって打ち方を決めているそうだ。
蕎麦のおいしさの秘訣は、挽きたて、打ち立て、ゆでたてという。そうめんは1年寝かせ、うどんは前の晩、スパゲティは完全に乾燥させるのが良いという。同じ麺の扱いが、どうしてこんなに違うのだろうか不
思議だ。
中の森さんおすすめが「発芽そば切り」である。一昼夜水につけて発芽させた蕎麦の実を使うため、糖化
素の働きによって増す甘みや、餅のような触感が特徴だ。ただし、麺が伸びるのも早いので、食べる方も技
術がいる。味は絶品。価格が高い理由が分かる。
この建物は2007 年に古い住宅を蕎麦屋として再生するため、私の事務所で設計を担当した。床板は100年以上経過した松材に久米蔵塗装。再生から年月を経て、黒光りして、壁の漆喰とのコントラストで、
深みがさらに増している。
水前寺駅の斜め前にあるので、一度行ってみたらよい。他では見られない、いろいろな秘密が分かるかも
しれない。
(熊本県・正会員 T.H.)
住所 | 熊本市中央区水前寺3丁目6-2 |
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電話 | 096-387-6340 |
営業 | 11:00~15:00 |
定休日 | 月曜日 |
メニュー | 田舎、挽きぐるみ、更科(各950円) 発芽そば(1,150円)、天ぷらそば(1,500円) |
HP | https://nakanomorisoba.jimdofree.com/ |
熊本市の主要道路「国道3号線」沿いを車で走ると、立ち並ぶチェーン店とは明らかに空気感が違う場所がある。カフェレストラン「芳文」だ。一瞬、時間が止まったかと見紛うほど、そこは静寂で、凛とした美しさを保っている。元酒蔵のその建物は、昭和59年にこの場所に移築された。以前は、酒蔵の町、御船の御船川沿いに建っていた。
洪水対策の護岸工事に伴い、売りに出された3棟のうち1棟の建物をオーナーが購入され、レストランを始められた。現在のシェフは縁あってオーナーと親戚関係となった二代目で、任されて12年が経つそうだ。
このご時世にホームページもないが、リピーターが絶えず、ランチタイムの開店時にはあっという間に前面の駐車場が埋まってしまう。デート、女子会、家族でのお祝い事など、多様な客層を受け入れる度量の大きな空間と、地元食材を活かした美味しい洋食。世代を超えた人気店だ。
そして、ここには密かな伝説がある。カップルが成立する席があるのだ。現シェフも今の奥様と結婚前に客として来店していて、まさか自分がここで料理を振る舞うことになろうとは思ってもみなかったそうだ。
平成28年の熊本地震では、瓦の一部落下と漆喰のひび割れ程度で、幸い構造体に大きな被害はなく、補修して営業を再開された。建物は、移築時に窓を増やすなど多少の改造はあるが、ほぼ原型をとどめており、出入り口もそのまま、鍵も木製の旧式のままだ。2階は、ギャラリー空間として無料で開放されている。
ここで食事をすると不思議な温かさに包まれ、ありのままの自分になれる。建物を大事に活かしてきた経営者と、長く見守り続けてきた客の作り出す空気感が、そうさせるのかもしれない。これからも、末長く地域に愛されていくことだろう。
(神奈川県・友の会会員 M.K.)
住所 | 熊本県南区南高江5-7-76 |
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電話 | 049-214-1617 |
カフェ・バー | 定休日 毎週水曜日 |
宿泊 | ドミトリー(相部屋)と個室の2種 |
営業 | 無休 |