近代和風住宅を
住居兼飲食店・民泊に再生
江戸から京の都に上るひとつ手前、東海道五十三次の最後の宿場町、大津。三井寺に近く、敦賀に向かう北国海道(西近江路)から路地を入ったところに佇む「○彌」は、オーナーの熱意で、2017年9月、カフェ、フリースペース、ゲストハウスに蘇りました。
オーナーの清水香瑠さんは服飾デザイナーとして活躍、リタイア後、子ども時代を過ごした思い出の家を親族から借り、終の住み処として改修。ちょっとした飲食が提供できて、部屋のひとつを民泊にしたいと計画しました。
屋根が複雑に組み合わさったこの建物は、大正15年に上棟した近代和風住宅ですが、もともとは西隣りの家と一体の長屋住宅の大津町家でした。当時、東はすぐ琵琶湖で素晴らしい景色が見えていたと思われます。
大津の隠れ家でゆったり過ごす
飲食は予約制でいろんなご相談にのっていただけますが、こだわりは「虫養い」。虫養いとは、腹の虫を一時的にしのぐ食べ物という意味で、できるだけ地産地消と旬の物を使った月替わりのランチメニューです。珈琲好きの私としては食後の珈琲もお薦め。清水さんのセンスで飾られた調度品を眺めながら、ゆったりとした時を過ごせます。フリースペースでは、ときおり作品展やお稽古事、ワークショップなどをされています。長期滞在にもお薦めで、まさしく大津の隠居部屋のようなゲストハウスです。
2020 年に「清水家住宅主屋」という名称で国の登録有形文化財となりました。(滋賀県・正会員 M.S.)
住所 | 滋賀県大津市観音寺11番1号 |
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電話 | 090-6552-4572(清水) |
料金 | 1泊朝食付17,000円~(定員4名) 3名以上は1名につき1,000円追加、夕食3,000円~(ご希望により可) |
アクセス | 京阪「三井寺駅」より徒歩4分、JR大津駅より徒歩23分またはタクシーで5分 |
k.shimizu0078@gmail.com | |
HP | https://www.instagram.com/wabi_wabi_k/ |
世界遺産「東寺}のすぐ近くに、大正末期に建てられた地区100年の京町屋が残されています。建築当時、家主は炭問屋を営んでおり、離れの和室など、こだわりや想いが随所に感じられます。
その歴史を今に引き継ぐのは、店主でデザイナーの酒井俊明さん。「茶の湯の考えで現代生活における和建築の在り方を構築すべく〝継ぐ〟をコンセプトにした空間をデザインしています。近代住宅へと改装されていた意匠を建築当時に戻してから今の姿へと再構築し、リノベーションも自ら施しました」との言葉通り、味わいある土壁や壁一面の建具などを目にすることができます。圧巻の茶房は、高さ7・4mある空間と長さ8mある天井梁に目が奪われます
茶房では日本各地で選定された100 種類を超える日本茶が楽しめます。日常とは違ったお茶の深みと楽しさを味わえるのも京都ならではです。和菓子店「いと達」と考案したお茶漬け菓子「茶妙(さみょう)」。3種類の一つ襄陽饅頭は糖度20%とごく控えめな甘さのあんこのお菓子、それに玉露を注ぎ、茶とともに変化する味を体験することができます。
坪庭を介した離れの和室では茶事や茶道体験も催され、歴史ある町屋で現代の日本文化を味わうことができるお店です。
(京都府 H.t)
住所 | 京都府京都市西区九条比永城町59 |
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電話 | 075-748-6198(予約優先) |
営業時間 | 11:00~17:00 |
定休日 | 水曜日 |
メニュー | 100種類以上から選べる日本茶:1,000円~(税込み) 茶味比べ(日本茶飲み比べ3種類~):2,500円~ お茶漬け菓子「茶妙」(全3種):1,300円 |
HP | https://Oma.jp |
江戸時代以来の古い区画と町家が立ち並ぶ御所まち(奈良県御所市)に、モリソン万年筆&カフェはある。建物は築後約100年を経ているとのこと。店名の由来となっているモリソン万年筆というのは大正7年に創設された企業名で、昭和45年までは万年筆をつくって販売していた。現在も店内では万年筆やボールペンの販売をしている。
カフェを立ち上げた谷川さんは、以前からカフェ巡りやバー遊びが好きで、いつかバーを経営したかったと話してくれた。「バーの楽しみ方は居酒屋とは180度違います。一人もしくは二人で店に来て、いいお酒をゆっくり時間をかけて呑む。店のマスターや顔なじみのお客様同士での会話を楽しみ、そこに集う人たちの間でコミュニティができる」と谷川さん。
また御所まちの中には休憩したり飲食したりできる場所がなかったことも、開店に至る動機の一つだったと話してくださった。夜のお客様はやはり近隣の方が多いとのこと。最近は30代の若い方々が、御所まちの将来についての夢を語り合っていることもよく見かけるようになってきたそうだ。
主なランチメニューはパスタとインド式のカレー。2022年前半に民泊もオープンする予定。1日4組宿泊可になり、中庭を眺めてゆったり滞在できる古民家の宿になるとのこと。2021民家フォーラムの会場からは徒歩で行ける距離なので、ぜひ足を延ばしてみてほしい。 (奈良県・正会員 J.S)
住所 | 佐賀県御所市1069番地 |
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電話 | 0745-63-1881 |
営業時間 | 水~日[Lunch]11:30~15:00 [Bar]18:00~22:00 |
定休日 | 火曜日 なお月曜日は不定休で営業はランチのみ 月曜日はあらかじめ、お問い合わせの上ご来店を。 |
席数 | カウンター8席、座敷4席~15席まで |
駐車場 | 3台 |
角のたばこ屋さんをカフェストハウスにリノベーション「ICHIE」。和歌山県田辺市新屋敷町の静かな住宅街にあります。昭和期に建てられた70年以上の木造平屋の建物からは、昔ながらの風情を残すお庭を廊下の揺らいだ硝子越しに眺めることもできます。
主屋だった部分、和室やタイル貼りのお風呂は当時の雰囲気をそのままに残しゲストハウスとして利活用されています。たばこ屋さんとしてご近所さんに慕われていた店舗はカフェに。世界遺産「熊野古道」に近いこともあり、連日いろいろな国籍の方が宿泊することも。利用される多くの宿泊客が、この建物から日本き文化を感じているとコメントもあるようです。
日中はバリエーション豊かなシフォンケーキ目当てに、近隣の常連さんだけでなく遠方からのお客さんもあり、今は地域交流の場となっています。一期一会と感謝の気持ちを大切にしている和やかな空間に、ぜひお立ち寄りください。
(取材:東京都・正会員 Y.Y.)
住所 | 和歌山県田辺市新屋敷町25-1 |
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アクセス | 紀伊田辺駅より徒歩10 分、 南紀田辺インターより車で5~10 分 |
メニュー | カフェ シフォンケーキセット680円(単品480円)~ |
宿泊費 | ゲストハウス 4,600円/泊 追加1名ごとに3,000円(合計7名) 和室8畳と6畳(2組限定) | 定休日 | 月曜日・火曜日 |
営業時間 | ランチ11:30~14:00(L.O.)、ディナー17:00~21:00(L.O.) ※変更の場合もあり、ご確認ください。 |
HP | http://ichie-cafe.com/ |