「鎌倉 北橋」(旧加賀谷邸)は旧前田侯爵家の別邸である鎌倉文学館、鎌倉市⾧谷子ども会館になったこともある旧諸戸邸の至近にある。
旧加賀谷邸は施工、築年が明らかではないが、おそらく大正期と考えられる。元家主の加賀谷氏が東京の不動産業者に売却し、約5年前に不動産業者が店子を募集。下北沢で打心蕎庵にて料理⾧を務めていた北橋氏が店子と決まった。
加賀谷邸の利用にはその所在地が第一種低層住居専用地域内のため、その利用に住宅兼用でかつ店舗部分が50㎡以下の制限があった。この面積制限を現店舗面積150㎡弱に近づけるため、「鎌倉市歴史的建築物の保存および活用に関する条例」により建築基準法の適用を除外し保存活用を図ることとした。
地域のランドマークとなっている洋館部分のドイツ下見張りのある外観やマントルピース、和風建築の主屋の簓子張りと漆喰壁、和室は床の間・飾り棚の構成維持や土壁仕上げなどを保存し、近隣住民、鎌倉市、建築専門委員、景観審議会、建築審査会などのコンセンサスを得ながら工事を進めたため、コロナ禍の影響もある中、竣工まで5年近い歳月を費やした。
現在建物の洋館部分はカフェ、日本家屋部分は蕎麦店に分けられている。蕎麦は農家から買い付け自家製粉し提供。蕎麦は二種、三種を一度に楽しめる産地違いの食べ比べがお勧めだ。天ぷらも絶品で、サクサクとした軽い食べ心地だ。カフェの方は水出しコーヒーのほかに、自作のジンジャー系ドリンクやラテなどが美味しい。新しい鎌倉の名所になる予感がする。(神奈川県・正会員 M.H.)
住所 | 神奈川県鎌倉市長谷1丁目11-32 |
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電話 | 0467-84-9662 |
アクセス | 長谷駅徒歩約6分、鎌倉駅徒歩21分 西武鉄道/西武秩父駅より徒歩約11分 |
営業 | 蕎麦11:00~20:30/カフェ9:00~17:00 ※月曜日は17:00まで |
定休日 | 火曜日 |
https://hamakura-kitahashi.com |
鎌倉駅西口御成通り商店街を少し入った路地裏にある、フレッシュチーズと薪窯ナポリピッツァのお店。
植え込みに育ったレモンの樹越しの工房に、真剣な眼差しで手際よくチーズを作るオーナーの山崎大志郎さんの姿が見えると、〝今日は売り切れていませんように〟と祈りたくなる。「イタリアでは、お豆腐でも買うようにしてマンマ(お母さん)が買っていく身近な存在なんですよ」とオーナー。
作っている時の真剣な表情から一転して笑顔で話してくれたのはもう何年も前のことだが、その言葉通り、お店の自家製リコッタチーズとマスカルポーネはすっかりお豆腐並みの必需品となって我が家の冷蔵庫にストックされている。
イタリアでチーズ作りを学ばれた大志郎さんと同じく、ピッツァ職人としてイタリアで修行された兄の健太郎さんは、古民家をリノベーションした店内の薪窯の前が定位置だ。鎌倉の海の波と明るい太陽をあしらった(と思われる)カラフルなタイル貼りの薪窯で、黙々とピッツァを焼く健太郎さんは、文字通りお店の〝炉心〟のような存在。大志郎さんの自家製チーズ、季節の野菜、ハーブやサルシッチャを使い、その手を通して魔のようなピッツァを焼き上げる。テーブルに運ばれて来たピッツァを前にすると、私たちはいつも互いに一瞬目を合わせ、〝さあ!〟とばかり自然と笑みを浮かべて手を伸ばす。
それぞれの素材が引き立て合うように調和した美味しい料理の数々、屈託のない笑顔を見せるスタッフの皆さん、人生を肯定するかのような優しい時間に感謝せずにいられない。(神奈川県・友の会会員 J.A.)
住所 | 神奈川県鎌倉市御成町11-17 |
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電話 | 0467-81-3440 |
アクセス | JR鎌倉駅西口・江ノ島電鉄鎌倉駅より徒歩約2分 |
営業 | 11:00~15:00 17:00~20:00 |
定休日 | 毎週月曜日+不定休 月祝の場合は翌平日休み |
http://latteria-bebe.com/ |
丁寧に手入れされたお庭のアプローチを抜けて、入口の引き戸を開けると、外観からはなかなか想像できなかった、広々とした空間が広がります。戦後すぐ、昭和20年代に建てられ、店主の栗原さんの祖父母がお住まいだったという古民家。栗原さんが学生の時に、取り壊す、という話も出たものの「壊さないで、とっておいて」とお願いしたそうです。
古民家改修は未経験ながらも、地元の大工さんの協力のもと、2年かけて家を手入れし2007年にお店をオープンされました。壁は漆喰や珪藻土を塗り、床は杉板に蜜蝋ワックス、柿渋やベンガラで、なるべく自然素材を使って仕上げたそうです。古民家の2階では、かつて、秦野の名産であったタバコの葉を乾燥させていました。
入口を入って右手が、今は蕎麦を打つ部屋となっており、ガラス越しに蕎麦打ちをされているライブ感が楽しめます。お店の奥には囲炉裏もあり、煙で燻された梁や柱が温かな味わいを醸し出しています。
お蕎麦は石臼を使ってそばの実を挽き、秦野の自然の恵みを活かし、その時々の季節ならではのメニューを提供されています。ちょうどお伺いした際はセリやコゴミなど、春の山菜を使ったお蕎麦の季節でしたが、夏は素揚げしたナスの皮をむき、出汁に浸して翡翠色を出した「翡翠そば」なども登場予定です。
家も生き物で、自分の身体の延長であると考える栗原さん。朝、お店に入る際には「おはようございます」と挨拶しているそう。
小さい頃の思い出をお尋ねすると、祖父と一緒に庭の八重桜の花を摘んだり、祖父母や親戚のかたが縁側でお茶を飲んだりしていたエピソードをお話しくださいました。
栗原さんが大切に愛情を注いできた古民家で、お庭を眺めながらゆったりとお蕎麦を味わってみてはいかがでしょうか。
(東京都・友の会会員 Y.M.)
住所 | 神奈川県秦野市渋沢2098 |
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電話 | 0463-88-1070 |
営業 | 11:30~15:00(L.O.) |
定休日 | 月・火(祝日は営業、振替休日あり) |
メニュー | 手挽きざる(1,100円)、麻ひしお(1,350円) 翡翠そば(1,400円) |
HP | https://sobakurihara.studio.site/ |
鎌倉駅から徒歩11分。小町大路から東勝寺橋方向へ曲がると目の前に見える。小町大路は鎌倉時代の主道路で、明治以降は保養地として開発、当時の建築物が今でも何軒か残っている。うち1軒が石田雄さんの経営する「燕カフェ」だ。2階建ての建物は昭和9年築の住宅で、現オーナーの母亡きあと2015年に店子募集され、イタリアンのコック歴10年超で古物商許可証も持つ石田さんとマッチングした。
こだわりの空間と食を楽しむ
赤い屋根の棟門と主屋の簓ささらこ子張りの外壁、燻し瓦が目印だ。店は1階のみ。石田さん曰く、「とにかく空間づくりには苦労した」というだけあって素晴らしい。店内への重々しい引き戸を開ければ板に洗面台がついた珍品和箪笥、両替商と薬屋の鬼看板が並ぶ。
内装は竿縁天井、漆喰壁、聚楽壁。古色を愛する石田さんは聚楽壁の傷も味としてそのままだ。大黒柱はなんと太さ八寸のケヤキ材。そして厳選した食器(寛政年間~)や調度品があふれ、庭の紫陽花で作ったドライフラワーが彩を添える。入ってすぐの8畳間には座卓2つ、文机1つが配置され、押入前には全国の市で探してきた岐阜、京都、山形の蔵戸が並ぶ。縁側には2つのテーブル席。梅雨時には紫陽花を窓越しに楽しめる。6畳の板の間にはカウンターとミシン台を改造したテーブル席がある。このカウンターが、建物自体に手を加えた唯一の場所だ。そして奥にはテーブル席の個室がある。
基本は年中無休で、食材が尽きるとお休みになることも。体にいいものをコンセプトに、和洋にこだわらず、野菜中心の料理と、漢方に詳しい石田さんご母堂のオリジナルブレンド茶がお勧めです。(神奈川県・正会員 M.H.)
住所 | 神奈川県鎌倉市小町3丁目2-27 |
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HP | https://tsubamecafe-kamakura.shopinfo.jp |
メニュー | 薬膳カレー1500 円、薬膳おでん1500 円、杏仁豆腐900 円 薬美巡茶(リラックスフレッシュティー 700 円、気巡り美人茶700 円、欲張り美人茶 700 円) |
古都鎌倉、江ノ電和田塚駅の正面に、無 心庵がある。駅の正面にあるといえど、店に入るには踏切のない線路を渡らねばならない。どうやら江ノ電は、もともとあった民家をかき分けるようにして敷かれたらしい。歴史ある門構えとこの不思議な甘味処に、日々多様な世代が足を運ぶ。店を構えたのは、3代目オーナーである佐藤さんの祖母。佐藤さんが11歳だった30年前に自宅を店にした。建物自体は釘を1本も使っていない築約100 年のもので、開店時にはあまり手を加えず、テーブルや座布団をそろえたくらいだったという。現在は奥さんと2人で経営をしており、メニュも代々受け継いできたこだわりのものを用い「自然体」で営んでいるとのことだ。お客様の呼び込みもインスタグラムとホームページ以外では行っておらず、まさに「自然体」で商いを楽しんでいる方である。 メニューはゴールデンウイークと月初旬を目途に変更し、新要素の導入や、お客様に合わせたメニュー変更にも取り組んでいる。 そんな佐藤さんの古民家への思いも、また「自然体」であった。店はだけであって、「古民家だから」という概念は持っていないのだそうだ。だからこそ、民家の解体が進む古都鎌倉での現状には「もったいない」と声をこぼしていた。民家の維持にはお金と労力がかかるのは確かだが、一度壊されたら元には戻せない現代日本の民家の現状を嘆いているようであった。コロナによる緊急事態宣言により何度も休業を強いられた「無心庵」。「自然体」にこだわりぬき、他のどこでも体験することができないこの店に、客足が戻ることを願う。(神奈川県・正会員 塩崎 陸)
住所 | 神奈川県鎌倉市由比ガ浜3丁目2-13 |
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電話 | 0467-23-0850 |
定休 | 木曜日(祝日営業) |
メニュー | 冬季限定:田舎汁粉(850円)、あんころ餅(900円)、あつあつ白玉きな粉(750円) |
HP | https://mushinan.chobi.net |