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JMRAの特別会員をご紹介します

JMRA活動を広めていくため、広範な分野でご活躍の方々に特別会員としてご協力をいただいています。

市毛良枝内山節大倉源次郎大宅映子喜多 俊之浜美枝林望降幡廣信 (敬称略、五十音順)

市毛 良枝(俳優)
市毛 良枝(俳優)
人が人らしく生きるお手本は昔の暮らしの中にある。
古民家の暮らしには、人が主役の営みがあり、現代人が不便と感じることにこそ、ものごとの真理が宿っているような気がする。
ほんの少し、後ろむきに生きてみようと思う。

プロフィール 静岡県生まれ。本名も同じ。文学座付属研究所を経て、1971年テレビドラマ「冬の華」でデビュー。最近では映画「椿山課長の七日間」、フジテレビ系「牛に願いを?Love&Farm?」などに出演。1993年にはキリマンジャロ登坂に成功。著書に『山なんて嫌いだった』がある。

内山 節(哲学者)
内山 節(哲学者)
かつての日本の社会には、わが家の永遠性や村の暮らしの永遠性に対する確信がありました。自分たちを守ってくれているものへの感謝を込めた祈りといってもいい。その祈りの中で家を造り、暮らしをつくり、村をつくってきた。これを戦後の日本人は失った。こういうものを投げ捨ててしまうと、永遠性は見えなくなり、功利的な面ばかりが見える。そうすると、どちらが便利かという話ばかりになっていきます。

プロフィール 1950年東京都生まれ。1971年に群馬県上野村の古い家を譲り受け、東京と往復しながら暮らす。在野の哲学者として、今日の社会システム、地域、農林業について発言を続けている。NPO法人「森づくりフォーラム」代表理事。
著書に『自然と労働』『森にかよう道』『貨幣の思想史』『戦争という仕事』『哲学の冒険』『怯えの時代』『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』ほか、多数。

大倉源次郎(能楽師)
大倉源次郎(能楽師)
静岡では、富士山が世界文化遺産に登録されたのだから県民は「羽衣」の謡いを謡えるようにしましょうと、静岡大学のグループが付属の小中学校で実験をしています。
謡いも子どものうちから馴染んでいったら諳んじるわけです。それで、休憩時間に、謡いのテープを3分ほどにして、毎日聴かせる。それを5回、10回聞かせた後で、「みなさんで謡ってみましょう」とCDに合わせて一緒に謡えば、みんな謡えるのです。そのあとに、プロの先生が学校に出かけて行く機会を作ってあげる。
そこでは、お稽古は「よろしくお願いします」と始まり、「ありがとうございました」で終わりますよと教えます。「よろしくお願いします」と自分から声をかけた以上、「あなたが頼んだのだから先生の言うことが絶対ですよ」ということも教えます。
その時に、姿勢を正して節はこうやって謡うのですよと言うと、子どもたちはそこでうまくなるのです。そうしたら、心から「ありがとうございました」と言えるようになります。
伝統芸能の私たちが教育の現場に行くということは、謡いを教えるのではない、物事を学ぶことの大切さと、感謝の念に基づいた挨拶を教えるためであり、美しい日本語を伝えに行くのです。 子どもたちが謡いを謡うようになれば民家は残ります。私は絶対そう思います。(『民家』94号「巻頭インタビュー」から抜粋)

プロフィール 1957年大阪生まれ。能楽小鼓方大倉流十六世宗家(大鼓方大倉流宗家預かり)。公益社団法人能楽協会理事。流派を超えて21世紀の能を考える「能楽座」座員。20代より能公演はもとより、誰もが日本文化である能と気軽に出会えるよう「能楽堂を出た能」をプロデュース。新作能、復曲能にも数多く参加。海外公演延べ20カ国30ツアーを超える。子ども向け能楽体験講座など各地で開催。

大宅 映子(評論家)
大宅 映子(評論家)
ことさらに自然との共生とか言わなくても、民家のような家に住んでいたら自然に身につくはずのものがあると思うのです。それがマンションでは身につかない。判断力もつかないし、寒さ暑さに耐えられないし、人間がヤワになってしまって、緊張感もなくなって、いまの日本が変なところにきているのは、そんなことが原因じゃないかと思っているのです。

プロフィール 1941年東京生まれ。国際基督教大学卒業。国際問題・国内政治経済から食文化・子育てまで幅広い分野で評論活動を続ける。「教育改革国民会議」「道路関係四公団民営化推進委員会」ほか各種審議会委員を努める。
TBSテレビ「サンデーモーニング」にレギュラー出演のほか、テレビ・ラジオでも活躍。著書に『私の雑草教育』『だから女が面白い』など多数。

喜多 俊之(工業デザイナー)
喜多 俊之(工業デザイナー)
伝統産業には日本独特の「極める」、つまり職人たちが極めていくという文化があります。次代の日本のものづくりの土台を支えるのは、この「極める」という心だと思います。
古民家には、人々の生活の知恵が詰め込まれています。それらを簡単につぶしてはいけません。現在、世界的にエコが言われているなかで、日本の役割は大きいものがあります。古民家は私たち日本のためだけにあるのではなくて、世界のためにあるということに、私たち自身も目覚める必要があります。
(『民家』71号「巻頭インタビュー」から抜粋)

プロフィール 1942年大阪市生まれ。1969年よりプロダクトデザイナーとして日本にとどまらずイタリアをはじめ国際的に制作活動を広げる。
家庭日用品、家具、液晶テレビ、ロボットに至るまで多くのヒット商品を生む。作品はニューヨーク近代美術館、パリ国立近代美術館、ミュンヘン近代美術館などに多くコレクションされている。
シンガポール、タイ、中国政府のデザイン顧問を務める。
大阪芸術大学デザイン学科教授。
長年にわたり、日本の伝統工芸、地場産業の活性化に関わる。近著に『地場産業+デザイン』がある。
2011年、イタリアCompasso d’Oro [carriera internazionale]賞 受賞

浜 美枝(俳優)
浜 美枝(俳優)
今日、こうして民家再生の時代を迎えて、日本人もそんなに捨てたものではないと思えるようになりました。日本の古きよきものを今という時代に捉えて、新しく民家を再生して暮らしやすくという時代が来たことは本当によかったと思います。

プロフィール 1943年東京生まれ。1960年東宝よりデビュー。1967年映画「007は二度死ぬ」ほか映画、テレビに多数出演。現在、文化放送ラジオ「浜美枝のいつかあなたと」に出演中。1977年に北陸3県の民家を箱根に移築再生。農林水産省「美の里づくりコンクール審査会委員」、食アメニティ女性ネットワークの会会長などを努める。農政ジャーナリストの会会員。著書に『浜美枝 農と生きる美しさ』など多数。

林 望(作家)
林 望(作家)
イギリスも19世紀に高度経済成長の極致に達して、そこから斜陽国に転じてきたのですが、そのなかで新しいものをどんどん作るよりは、古いものをうまく再利用しながら使っていく、そこで文化の継承をしていくのがいいと考えが変わってきた。日本もその100年後を歩いているのではないか。ですから、建物に対する我々の意識を変えていく必要があると思います。

プロフィール 1949年東京生まれ。慶應義塾大学博士課程修了。ケンブリッジ大学客員教授、東京芸術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学・国文学。著書『イギリスはおいしい』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。エッセイ、小説のほか、詩、能楽、自動車評論等、著書多数。主な著書は『私の好きな日本』『思い通りの家を造る』など。

降幡 廣信(建築家)
降幡 廣信(建築家)
私は、日本には日本固有の文化としての家があるべきだと思っています。ところが、今つくられている新しい住宅にはそれが感じられません。本来、文化としての家というものは、伝統のなかにあってはじめて生まれるものです。
戦後の日本は、戦災で住む家がなくなって、雨露をしのげる家さえあればいいということがありました。そこに今、日本固有の住宅がなくなっている原因があると思います。戦争で住まいの伝統が途絶えたのですから、そこをどう埋めていくか。唯一の方法は、伝統でつくられた時代の民家を再生することだと思います。
日本民家再生協会のみなさんが、日本の文化としての住いをつくっていくのだという使命を自覚し、運動を広げていってほしいと思います。

プロフィール 1929年長野県生まれ。1953年関東学院大学建築科卒業。同大学建築学教室助手をへて、1961年家業の山共建設(株)を継ぐ(三代目)。1963年降幡建築設計事務所を設立、所長に。「民家再生」を提唱し、先駆的役割を果たす。著書に『民家の再生―降幡廣信の仕事』『現代の民家再生』『民家再生の設計手法』『古民家再生ものがたり』『民家再生の実践』などがある。