民家の店・宿 民家の店・宿

民家の店・宿

情報誌『民家』の「民家の店、民家の宿」シリーズからの抜粋です。

  • 佐賀/日本料理「あるところ」

     佐賀県・唐津市街から松浦川を渡って鏡山の麓へ続く田舎道を上っていく途中、うっかりすると見落としてしまいそうな店の立て看板に導かれ脇道を入っていくと、目の前に実に堂々とした佇まいの古民家があらわれます。
     ここは、知る人ぞ知る人気の日本料理店「あるところ」。唐津の海と里山の幸を、焼き魚、青菜のお浸し、おむすびといった和食の原型のようなシンプルなかたちでいただくことができます。食材のおいしさを最大限に引き出すのは店主・平河直さん。自らの手で改修した築130年の古民家は、細部に至るまで土壁で仕上げられ、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。特に目を引くのは、あえて昔ながらのスタイルにこだわった台所で、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
     竈で炊く白米の香り、立ち上がる湯気、店主が奏でる包丁の音色…店内では、その丁寧な仕事ぶりを五感で楽しむことができます。季節の料理をよりいっそうひきたてる器は、店主が一品ごとに選りすぐった唐津焼。料理をいただいた後にも、器を愛でるもう一つの楽しみがあります。ぜひ、一年を通して四季折々の料理を楽しみたいお店です。
    (栃木県・正会員 T.S)

    住所 佐賀県唐津市鏡732
    電話 0955-58-8898
    営業時間 昼11:00~15:00 夜17:00~22:00
    不定休
    メニュー 昼のコース 5,000円(税込み)
    夜のコース 10,000円(税込み)
    HP http://arutokoro.com

  • 奈良県御所市/カフェ&バー「モリソン万年筆&カフェ&」

      江戸時代以来の古い区画と町家が立ち並ぶ御所まち(奈良県御所市)に、モリソン万年筆&カフェはある。建物は築後約100年を経ているとのこと。店名の由来となっているモリソン万年筆というのは大正7年に創設された企業名で、昭和45年までは万年筆をつくって販売していた。現在も店内では万年筆やボールペンの販売をしている。
     カフェを立ち上げた谷川さんは、以前からカフェ巡りやバー遊びが好きで、いつかバーを経営したかったと話してくれた。「バーの楽しみ方は居酒屋とは180度違います。一人もしくは二人で店に来て、いいお酒をゆっくり時間をかけて呑む。店のマスターや顔なじみのお客様同士での会話を楽しみ、そこに集う人たちの間でコミュニティができる」と谷川さん。
     また御所まちの中には休憩したり飲食したりできる場所がなかったことも、開店に至る動機の一つだったと話してくださった。夜のお客様はやはり近隣の方が多いとのこと。最近は30代の若い方々が、御所まちの将来についての夢を語り合っていることもよく見かけるようになってきたそうだ。
     主なランチメニューはパスタとインド式のカレー。2022年前半に民泊もオープンする予定。1日4組宿泊可になり、中庭を眺めてゆったり滞在できる古民家の宿になるとのこと。2021民家フォーラムの会場からは徒歩で行ける距離なので、ぜひ足を延ばしてみてほしい。 (奈良県・正会員 J.S)

    住所 佐賀県御所市1069番地
    電話 0745-63-1881
    営業時間 水~日[Lunch]11:30~15:00
    [Bar]18:00~22:00
    定休日 火曜日 なお月曜日は不定休で営業はランチのみ
    月曜日はあらかじめ、お問い合わせの上ご来店を。
    席数 カウンター8席、座敷4席~15席まで
    駐車場 3台

  • 千葉/蔵のカフェ&ギャラリー「灯輪」(登録有形文化財「笹屋土蔵」)

    千葉/蔵のカフェ&ギャラリー「灯輪」manimani」1

    江戸時代から明治大正にかけて舟運で賑わっていた千葉県の流山。老舗が点在する海道から路地を入ると土蔵(明治31年築)を改装した「灯輪」があります。1階はカウンターとテーブル席で新たに窓を設けた明るいカフェ、2 階は照明を控えめにして、 ギャラリーやイベントスペースとし ても使われています。
    オーナーの秋元さんがこの蔵に出合ったのは10 年ほど前。カフェ巡りと陶器が好きで、いつか店を開きたいと思い続けていたある日、街道沿いの立派な家屋や蔵が空き家になっ ているのがもったいないという思いがあり、市役所に「カフェをはじめ たいので、どこか紹介してください!」と相談に行ったそうです。 市でも歴史的建物の活用をはじめ ようとしていた時期で、ほどなくして空き家になっていたこの蔵を紹介 されたそうです。火事に遭い外壁などはかなり傷んでいましたが、秋元さんが考えていたお店のビジョンにぴったりで、「自分で空き家を見つけても前に進むことは難しいと思っていたので、とても嬉しかった」と当時のことを話します。市の事業の対象にもなり、改修のための補助金を 受けることができました。再生にあたって大変なこともあったようですが、「目の前のことを一つずつこなしていって、気が付いたら店を始めていました」と笑顔の秋元さん。
    季節の野菜や糀、 地元のみりんなど、 素材や彩りにこだわった料理やデ ザート、飲み物が、 秋元さんが大好きな笠間焼の器、そ して蔵の空間と調和しています。 接客を手伝うお母さんと、にぎやにぎやかに店を切り盛りしています。
    (千葉県・正会員 K.H.)

    住所 千葉県流山市北1-155
    電話 047-158-0221
    交通 流鉄流山線流山駅より徒歩5分
    メニュー おまかせデザートプレート、自家製スイーツ、 コーヒー、紅茶など
    営業時間 10:30~17:00(L.O.16:30)
    定休日 火、水曜日
    HP https://kuratowa.com

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  • 埼玉/カフェ&多目的スペース・登録有形文化財「カフェブランコ(紡ぎの家 大島)」

    埼玉/ゲストハウス、カフェ&バー「ちゃぶだい」manimani」1

    埼玉県の伊奈町に、江戸末期に建 てられた民家があります。カフェ&多目的スペースとして現地再生された「紡ぎの家 大島」です。「居場所 と出番」をコンセプトに、人びとが 気軽に立ち寄れる場所と、何かの役に立てると感じられる場所づくりが進められています。
    敷地内には四季折々の樹木や草花 が育てられており、訪れる人びとを やさしく迎えてくれます。主屋東側の広々とした土間部分が、カフェとなっています。天井が高く、太い梁 と柱で覆われた、日本民家ならではのくつろげる空間が広がっています。心地よい時間が流れており、ついつい長居してしまいそうです。
    この「カフェ ブランコ」ではハンドドリップで淹れられた有機栽培のコーヒーや、週替りの気まぐれスイー ツ、パスタなどの軽食が楽しめます。 カフェの他、土間に面した小上が りは、ギャラリーやイベント空間として利用されており、これまで写真展・雑貨展・演奏会・寄席などが行われたそうです。縁側に面した和室 2部屋は、貸しスペースとして、ヨガ教室やお花教室など各種教室で利 用されています。
    多くの人に居場所を提供したい、 人と人が出会い紡ぎ合う場でありたいという、オーナーの思いが伝わってくる居心地の良いお店です。
    (奈良県・正会員 M.N.)

    住所 埼埼玉県北足立郡伊奈町小室11064
    電話 048-796-0445
    営業時間 日・月・火・水 11:00~17:00
    メニュー 有機栽培コーヒー、紅茶、柚子ジンジャー、オレンジジュース、
    週替わりパスタ、 気まぐれスープランチ、ケーキ各種他
    定休日 不定休
    HP https://tumuginoie-ooshima.jimdofree.com

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  • 埼玉/ゲストハウス、カフェ&バー「ちゃぶだい」

    埼玉/ゲストハウス、カフェ&バー「ちゃぶだい」manimani」1

    小江戸・川越とおばれ、観光客で賑わっている蔵通りを横道に入った住宅街に、一軒の長屋がある。築100年の民家をリノヴェーションしたゲストハウス、カフェ&バー「ちゃぶだい」。 ちゃぶだいを運営する戎谷さん、西村さん、田中さんの3人は、川越市が2018年に開催した「まちづくりキャンプ」を通じて知り合い。3人に共通していたのは川越でゲストハウスをしたいとの思いだった。1年かけて探し、見つかったのが、かって肥料問屋だった築100年の民家。大家さんはとても理解があり、自由になんでもしてもいいよと言ってくれたそうで、古民家の良さを生かしながらワークショップなどをして自分たちの手でリノベーションをし、2019年に「ちゃぶだい」をオープン
    1階の一部と 階がゲストハウス,現在は1 階の客室が「書ー店街」という本屋スペース。中庭には「眼鏡工房」やレンタルスペース小屋がある。農家直売のマーケットや朝ヨガ などのイベントも開催。「ちゃぶだ い」は多様な機能がある複合施設に なり、地域の人と川越に来た地域外 の人が交わるハブとなっている。 ゲストハウスには、古民家でゆっ くりしたい人や、「ちゃぶだい」を目 的で来る人も多いそうだ。運営ス タッフやその場にいる人びとと自然 に交流ができるのも魅力。
    民家の落ち着いた雰囲気と、和 やかな空気がとても居心地がいい「ちゃぶだい」を訪れると、スタッ フのみなさんが満面の笑顔で迎えて くれる。運営者の1人である西村さ んは、いつもきさ くに声をかけてく れ、川越情報をた くさん教えてくれる。「ちゃぶだい」 の今後や川越をもっと楽しい街にし たいと、想いも語ってくれた。
    こうしてひとつでも多くの民家が 次世代に受け継がれることを願う。
    (東京都・友の会会員 S.N.)

    住所 埼玉県川越市三久保町1-14
    電話 049-214-1617
    カフェ・バー 定休日 毎週水曜日
    宿 泊 ドミトリー(相部屋)と個室の2種
    HP https://www.chabudai-kawagoe.com/
     

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