JMRA登録事業者が設計・施工した民家再生事例を紹介します。
十数年前に知人から譲渡してもらった合掌造りの古民家を、ゲストハウスとして再生した。築180年程の解体寸前であった価値ある建物を、建築当時の姿に一部復原しつつ、華美な装飾は排して、既存の素材のもつ魅力を活かしながら改修した宿泊施設である。
リモートワークになった若いご夫婦が移住するための再生。地棟には、明治39年建築であること、大工棟梁は当時の地域を代表する名棟梁の名が墨書きされていた。建築主の要望に沿って、米原の寒さに耐えられるように断熱処理を施し、また極力自然素材を使った再生を心がけた。施工に付き物の接着剤については膠を使用している。
故郷の生家で第2の人生を始めるための再生。部屋を細かく仕切っていた壁を取り払い、軽く建具で仕切り直すことで、フロアー全体を一つの空間とした。また、一部天井を無くし小屋裏を空間に取り入れることで開放感をもたせている。建築当初の那智石のパターン貼り等は、当時の家の記憶として生かした。外観は出格子を町家風に設置し、周囲の歴史ある景観に馴染ませている。
明日香村及び(一財)明日香村地域振興公社の連携包括協定による、飛鳥の歴史的風土の保全や産業及び地域活性化プロジェクトの一つ。村の空き家バンクに登録されていた建物で、廊下でつながっていた主屋と納屋を独立させ二棟として再生。どちらも建築当初の状態が保たれていたため、この地方特有の杉丸太を多様した軸組みを見せ、根継ぎによる補修を行うなど、建物の価値を損なわないようにしつつも、左官仕上げ等各所の意匠にこだわり、限界耐力計算による耐震化もなされている。地域の農家住宅の屋敷構えを感じることのできる宿泊施設へと見事に生まれ変わった。
曽祖父の代より受け継いできた歴史ある家。簡易宿泊所として将来の飲食店経営も見据えた再生を行った。石場建て建築のため限界耐力計算を採用、荒壁パネルなどによって耐震性を確保している。耐震の都合による床レベルの差はかえって空間のゾーニングを生み出した。意匠は、力強い小屋組みを各所にあらわし、調湿性に優れた中霧島壁に藁を混ぜ使用することで、懐かしさとモダンさを兼ね備えたものとなった。