

JMRA登録事業者が設計・施工した民家再生事例を紹介します。
若い建築主の希望で、外観も内観も伝統的な民家のスタイルとしている。既存の部材を出来る限り生かし、雨漏りの傷みや、土台、柱の傷みを丁寧に改修。土間の煤けた天井もそのまま残した。使用した材は埋木に至るまで全て無垢材か古材としている。また藁床の畳や左官仕上げの壁など自然素材にもこだわっている。手間を掛けることでかつての面影を取り戻した。
明日香村及び(一財)明日香村地域振興公社の連携包括協定による、飛鳥の歴史的風土の保全や産業及び地域活性化プロジェクトの一つ。村の空き家バンクに登録されていた建物で、廊下でつながっていた主屋と納屋を独立させ二棟として再生。どちらも建築当初の状態が保たれていたため、この地方特有の杉丸太を多様した軸組みを見せ、根継ぎによる補修を行うなど、建物の価値を損なわないようにしつつも、左官仕上げ等各所の意匠にこだわり、限界耐力計算による耐震化もなされている。地域の農家住宅の屋敷構えを感じることのできる宿泊施設へと見事に生まれ変わった。
昭和2年頃に移築された建物。近隣の商店街がた雁木通りとして再開発されることから、空き家になる予定だったこの家を活かしたいと、レトロ感を活かして再生することに。再生にあたり、現状のままの修繕と予算を掛けないことを心がけ、水回りのみ新規設備とした。大正~昭和初期のマジョリカタイルは洗面所のワンポイントとなっている。建具で寒さ対策、天井は洗出しにて既存利用。
元商家で、なまこ壁などの特徴的なデザインが地域でも存在感を放つ建物だった。25年の空き家期間もあり相当老朽化していたが、再生可能な住居棟を宿泊施設として再生。土地建物は賃貸。耐震補強と屋根瓦の全葺き替え(瓦は再利用)などを行った。玄関戸のデザインは地域の旧映画館の写しとしたり、迫力ある丸太梁を活かした屋根裏の寝室など、随所に楽しさのある建物となっている。
活用できていなかった建物を宿泊施設として再生。浸水リスクのあるエリアのため、基礎改修と嵩上げを目的としているが、座敷などで既存の良さを残しつつ、現代的な機能も兼ね備えた改修とした。玄関土間は天井をはがして根太をあらわし、屋根裏スペースに秘密基地のような空間を造るなど、宿泊者が楽しく快適に過ごせる空間や水回りの意匠にもこだわった。